一般貨物Q&A.その1.運送業の法律上の分類は

 

 

  「一般貨物Q&A」は、運送業に関する様々なテーマをピックアップして、知識や情報を提供することを目的と

  したページです。

  これから開業しようとお考えの方が本ページを読んで、運送業に関する知識を習得していただければ、幸いです。

 

 

  Q1.自動車を使用する運送業には、どのような種類がありますか?

 

  A1.大きくわけると、「貨物」と「旅客」の2種類です。

 

  法律は「物(ぶつ)」を運ぶものを「貨物自動車運送事業」、「人(ひと)」を運ぶものを「旅客自動車運送事

  業」として区別し、異なる法律で規制をしています。

  (貨物自動車運送事業は「貨物自動車運送事業法」、旅客自動車運送事業は「道路運送法(主に第2章)」が基本

  法となっています。)

  ここでは、貨物自動車運送事業に限って、法律上の分類について書いていきたいと思います。

 

 

  Q2.「貨物自動車運送事業」には、どのような種類がありますか?

 

  A2.「軽」・「一般」・「特定」の3種類です。

 

  さて、「物(ぶつ)」を運ぶ「貨物自動車運送事業」ですが、「使用する自動車」によって2つに分類されます。

  荷物を「何に載せて運ぶか」による違いですね。

  「軽自動車・二輪自動車」に載せて運ぶ場合は、「貨物軽自動車運送事業」です。

  「それ以外の自動車」に載せて運ぶ場合は、「一般貨物自動車運送事業」又は「特定貨物自動車運送事業」のい

  ずれかになります。

  したがいまして、運送事業を開業しようと考えたときに、軽トラックやバイクを使用して運送しようとする場合

  は、「貨物軽自動車運送事業」の開業申請の手続きをする、トラックやハイエースを使用して運送しようとする

  場合は、「一般(又は特定)貨物自動車運送事業」の開業申請の手続きをする、ということになります。

 

 

  Q3.「一般」と「特定」の違いを教えて下さい。

 

  A3.運送事業による「売上」が荷主1社(1人)からしかなく、かつその荷主の総輸送量の80%以上を担う場

     合で、第三者が運送契約や指示に介入しない場合に限り「特定」、それ以外なら「一般」です。

 

  次は「一般貨物自動車運送事業」と「特定貨物自動車運送事業」の違いについてです。

  「特定貨物自動車運送事業」とは、法律の説明では、以下のようになっています。

 

  貨物自動車運送事業法 第2条第3項

  この法律において「特定貨物自動車運送事業」とは、特定の者の需要に応じ、有償で、自動車を使用して貨物を

  運送する事業をいう。

 

  ちょっと言葉足らずな感じがするので、もう少しわかりやすく言うと、運送による売上が1社(又は1人)から

  しかない場合です。

  他方、「一般」とは、「特定」に該当する場合以外ををいいますので、運送による売上が2社(又は2人)以上

  からある場合です。

  ちなみに、実務的な話ですが、「特定」に該当する方でも、「特定」で許可をとらず、「一般」で許可をとるこ

  とが多いです。

  理由は「特定」の許可ですと、「特定された1社(1人)以外のお客様」から運送の仕事の依頼が来ても、断ら

  なければならないからです。

  もし、その仕事を受けたいと思った場合は、「一般」の許可が必要になります。

  でも、「特定」から「一般」への許可の切り替えという簡易な手続きはありません。

  「特定」の許可を廃止し、「一般」の許可をとるための手続きをしなければなりません(この場合、法令試験は

  ありません)。

  時間もお金も無駄になることがあります。

  したがって、私は「特定」で許可をとることには(メリットも多少あるけど)、デメリットがあるということは、

  お伝えしています。

 

 

  Q4.「特別積合せ」と「利用運送」について教えて下さい。

 

  A4.一言でいうのは難しいですので、以下をご覧下さい。

 

  少々細かい話ですが、「特別積合せ貨物運送」と「貨物自動車利用運送」について説明しておきます。

  「特別積合せ貨物運送」とは、自社の営業所・荷扱所などの拠点で「荷物の積み下ろし」と「荷物の仕分け」を

  行い、拠点間で「定期的に運送」することをいいます。

  あくまで拠点間での運送のことをいいますので、最後の拠点から消費者宅への配達のための運送は、「特別積合

  せ貨物運送」ではなく、単に「一般貨物自動車運送」です。

  次に「貨物自動車利用運送」ですが、これは自社が請け負った運送を、「下請」の貨物自動車運送事業者にさせ

  ることをいいます。

  通常であれば、荷主と自社との間で運送委託契約(請負契約)を締結し、自社と下請との間で利用運送契約を締

  結するという形になるでしょう。

 

 

  Q5.「軽」・「一般」・「特定」では、開業手続きに違いがありますか?

 

  A5.「軽」は「届出」で足りますが、「一般」・「特定」は「許可」が必要です。

 

  さて、貨物自動車運送事業の分類について書いて参りましたが、この分類により、開業するための手続きに違い

  があります。

  「貨物軽自動車運送事業」を開業するために必要な手続きは、「届出」です。

  これに対し、「一般貨物自動車運送事業」「特定貨物自動車運送事業」を開業するために必要な手続きは、「許

  可」です。

  時間的な観点でいうと、「届出」は早ければ即日に手続きが終わりますが、「許可」は数か月(最低でも2か月

  以上)かかります。

 

 

  Q6.今日の記事のソースを教えて下さい。

 

  A6.以下の参照条文をご覧下さい。

 

  このページに書いてあることが「ガセではないか?」と疑われるといけないので、最後に、参照条文をご案内し

  ます。

  貨物自動車運送事業の分類と定義については、貨物自動車運送事業法2条1項から4項に書いてあります。

  特定貨物自動車運送事業の定義の詳細については、中部運輸局の公示  一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自

  動車運送事業の申請事案の処理方針について 平成15年2月28日 中運局公示第277号のⅢ.1.運送の

  需要を参照して下さい。

  特別積み合せ貨物運送については、第6項、貨物自動車利用運送については第7項に書いてあります。

  興味があれば、検索してみてください。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

の行政書士

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