一般貨物Q&A.その3.運送業の開業にあたり備えるべき要件は(車両編)

 

 

 

    このページでは、一般(又は特定)貨物自動車運送事業を開業するための要件のうち、主に車両に関わることに

  ついて書いていこうと思います。

 

 

  Q15.「車両1台」で運送業をスタートしたいのですが、許可を受けられますか?

 

      A15.原則は「5台以上」でなければ許可を受けられませんが、「霊柩の運送」や「一般廃棄物の運送」の場

                  合は、5台未満でも許可が受けられます。

 

       原則として、運送事業用の車両が5台以上なければ許可は受けられませんが、「霊柩の運送に限る場合」や「一

   般廃棄物の運送に限る場合」のような特殊な場合は、条件付きで5台未満でも許可を受けられます。

   ちなみに「霊柩の運送」というのは、霊柩車や寝台車で人の遺体を運ぶことです。

 

 

       Q16.これから運送業用にハイエースを購入しようと思います。注意すべきことはありますか?

 

   A16.運送業用の車両は、主に物を運ぶための車両ですから、用途が「貨物」でなければなりません。ディー

       ラーさんに確認して下さい。

 

       ハイエースのように、「乗用自動車(人の運送の用に供する自動車)」のタイプと「貨物自動車(貨物の運送の

   用に供する自動車)」のタイプがある車両については、少し注意が必要です。

       乗用車と貨物車は、荷室の床面積の広さなど、構造が違います。

       運送事業で使用する車両は、その構造が輸送する貨物の運送に適しているものでなければいけませんが、乗用車

   はこれに適さないということです。

       したがって、用途が「乗用」の車両は運送業用としては使用することができません(緑ナンバーにはできない)

   ので、購入前にディーラーさんに運送業で使用する旨を伝えて下さい。

       ちなみに、運送事業に使用する貨物自動車のナンバープレートについては、以下のイラストを参考にして下さ

   い。

 

 

 

 

 

 

 

 

        参    照:道路運送車両法施行規則第1号様式備考

                      自動車登録規則13条及び別表第一、第二、第三

 

       ナンバープレートの色:事業用自動車は緑地に白文字です。(自家用自動車は白地に緑文字)

 

       豊   田:この部分は、自動車の使用の本拠の位置(営業所の住所のことです)を管轄する自動車検査登録事務所(なければ運輸監理部、運輸

        支局)を表示する文字が記載されています。

        なお、豊田市を管轄する自動車検査登録事務所は西三河検査登録事務所なのですが、「三河」ではなく、「豊田」と表示します。

        いわゆる、ご当地ナンバーですね。

 

    199:この部分は、自動車の種別及び用途による「分類番号」を表示する3ケタ以下のアラビア数字が記載されています。

        貨物の運送の用に供する普通自動車は1,10~19,100~199まで。

        貨物の運送の用に供する小型自動車は4,6,40~49,60~69,400~499,600~699まで。

        貨物の運送の用に供する自動車の中で、冷蔵冷凍車などの特種の用途に供する普通自動車及び小型自動車は

        8,80~89,800~899まで。

        上のナンバープレートの分類番号は199ですので、「貨物の運送の用に供する普通自動車」ということを表しています。

 

          を     :この部分は、「自動車運送事業の用に供するかどうかの別」を表示するひらがな(又はローマ字)が記載されています。

          自動車運送事業の用に供する自動車は「あ、い、う、え、か、き、く、け、こ、」のいずれかが記載されます。

 

    19‐67:この部分は4ケタ以下のアラビア数字が記載されています。

 

 

  Q17.許可申請の時点で、車両の車検証の所有者(使用者)が自社(個人事業なら自分)の名義になっていな

      ければいけませんか?

 

  A17.車検証に記載される所有者(使用者)の名義を自社(自分)に変更するタイミングは、開業直前(後述

          しますが、「事業用自動車等連絡書」という書類を運輸支局から受け取って、車両のナンバーを緑ナン

                  バーに変える手続きと同時)でも構いません。

                  ただ、車両の使用権を証明するために、購入予定であれば購入(予約)の契約書、賃貸借であれば賃貸

                  借契約書、リースであればリース契約書が必要になります。

                  つまり、最低限、契約を締結してあることが必要です。

 

   運送事業に使用する車両は自ら「購入」したものでなければならないと思われる方もいらっしゃるかもしれませ

       んが、別に「リース」や「賃貸借」 で調達した車両でも構いません。

   ただ、きちんと調達した事実を証明する、「契約書」などの書面は、許可申請の時点で必要になります。

  (後述する「所要資金の計算」を、契約書に記載されている「売買価額」、「リース料」、「賃借料」で算定し

   ますので、その意味でも契約書の 存在は申請時点で必要といえます。)

   なお、申請時点では契約の締結の事実があり、それを書面で証明できるのであれば、まだ車両の引き渡しを受け

   ていなくても、問題ありません。

 

 

  Q18.「事業用自動車等連絡書」とは、いつ発行され、どういったときに使用するのですか?

 

      A18.「開業の準備が整った」ことを運輸支局が確認したときに、発行されます。使用するのは、車両のナン

      バープレートを緑に変更するときです。

 

   少し脱線してしまいますが、上で出てきた「事業用自動車等連絡書」についてご説明します。興味があれば読ん

   で下さい。

   さて、「開業の準備が整った」というのは、具体的な状況としては、

  「許可を受けて、許可書を受け取った」

  「登録免許税12万円を支払った」

  「運転者、運行管理者、整備管理者などの、従業員の雇用手続きも終わり、実際に働き始めた」

  「従業員の社会保険・労働保険の加入手続きが済んだ」

  「運行管理者、整備管理者を正式に選任し、その届出を運輸支局で行った」

  「営業所、休憩場所、睡眠場所、車庫は備品や設備の設置などの準備がすべて終わり、いつでも使える状態だ」

       「会社に備えておくべき帳票類も準備してあり、開業したらすぐに記入して会社に保管できる体制だ」

  「車両の任意保険(対人無制限)にも加入した」

   といったように、「運送事業をいつでも開業できる状態になっている」ことをいいます。

   残す手続きは、車両のナンバープレートの変更などの自動車登録手続きだけという状況です(厳密には運賃の設

   定の届出が最後にありますが)。

       この状態にあることを運輸支局に書面を提出して証明すると、発行してくれるのが「事業用自動車等連絡書(通

   称、連絡書)」です。

   この「連絡書」を添えて、「車両の登録手続きを管轄する、検査登録事務所」で緑ナンバーに変更する手続きを

   行います。

   さて、この「連絡書」ですが、ナンバープレートを変更するときに必要になる書類ですから、開業後、車両を増

   やしたり(白ナンバーから緑ナンバーにする)、減らしたり(緑ナンバーから白ナンバーにする)するたびに、

  「連絡書」の発行を受けて、同様の手続きをすることになります。

 

 

  Q19.私は運送業用に新車を購入し、無事、許可を受けることができました。ディーラーさんに、車両の新規

      登録をしてもらうにあたり、警察の車庫証明をとる必要はありますか?

 

  A19.車庫証明をとる必要はありません。許可を受けたということは、車庫に関する調査で、(許可に何かし

      らの条件がつくことはありますが)問題がなかったということです。

      「事業用自動車等連絡書」が車庫証明の役割を果たします。

 

   自家用車両(引き続き白ナンバーの車両)であれば警察の車庫証明が必要になるケースでも、事業用車両(現に

   緑ナンバー又は申請により緑ナンバーになる車両)は、通常、警察の車庫証明をとる必要はありません。

   その代わりに、車庫について事前に運輸局の「許可(開業後は認可)」を受けなければならないわけです。

   なお、かつては車庫の「許可」を運輸局が出すかどうか審査する過程の中で、運輸局は管轄の警察署に車庫とし

   て問題がないか「照会(交通保安照会)」をかけていました。

 

 

  Q20.今日の記事のソースを教えて下さい。

 

      A20.以下の参照条文をご覧下さい。

 

   このページに書いてあることが「ガセではないか?」と疑われるといけないので、最後に、参照条文をご案内し

   ます。

   許可を受けるために必要な車両数が5台以上であることについては、残念ながら直接書いてある条文はありませ

   ん。

       (中部運輸局の公示  一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の申請事案の処理方針について 平成

   15年2月28日 中運局公示第277号のⅠ.2.(1)車両数を参照して下さい。)

        仕方ないので、車両の台数として「5台」についての言及がある条文の規定をお伝えすると、輸送安全規則18

        条1項道路運送車両法施行規則31条の3の2号道路運送車両法50条1項あたりになります。

        (輸送安全規則18条1項は営業所に配置する車両の台数が5台未満で、地方運輸局長が認める一定の場合(霊

   きゅうの運送、一般廃棄物の運送など)は、運行管理者を選任しなくてもいいという規定です。

       道路運送車両法施行規則31条の3の2号道路運送車両法50条1項は、貨物自動車運送事業者が営業所に配

   置する車両の台数が5台以上になる場合は、整備管理者を選任しなければならないという規定です。)

       車両の用途についても、残念ながら「貨物」でなければならないと直接書いてある条文はありません。

       (中部運輸局の公示  一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の申請事案の処理方針について 平成

   15年2月28日 中運局公示第277号のⅠ.2(3)構造を参照して下さい。)

       自動車の用途による分類については、自動車登録規則13条1項2号3号別表第二別表第三を参照して下

   さい。

   自動車の名義を自己に変更するのは開業直前でよいという根拠としては、道路運送法59条2項道路運送車両

   法施行規則36条2項1号を参照して下さい。

   事業用自動車等連絡書については、道路運送車両法施行規則36条2項38条2項を参照して下さい。

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

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