一般貨物Q&A.その4.運送業の開業にあたり備えるべき要件は(営業所編)

 

 

 

     このページでは、一般(又は特定)貨物自動車運送事業を開業するための要件のうち、主に営業所に関わ

  ることについて書いていこうと思います。

 

 

   Q21.「営業所」とは何ですか?

 

     A21.法律上の定義はないのですが、営業所とは、「営業活動、輸送の安全を確保するための運行管理

                の拠点となる場所」のことをいうようです。

                世間常識でいうところの「事務所」という理解でいいと思います。

 

 

     Q22.営業所は、代表者の自宅でもいいですか?また、賃借(=有償での貸借)又は使用貸借(=無償

       での貸借)でもいいですか?

 

  A22.後述する要件を満たしているのであれば、代表者の自宅でも構いません。また、賃借や使用貸借

      でも構いません。

                借用の場合は、契約書の中で「使用目的」を「事務所」とし、契約期間を1年以上とする(1年

                未満とした場合は、期間満了時に自動的に更新される旨の定めを設けること)よう、お願い致し

                ます。

                なお、代表者から賃借する場合は、会社と代表者との間で賃貸借契約を締結することになります

                がこれは会社の利益と代表者の利益が相反する「利益相反取引」に該当するので、株主総会の承

                認(取締役会設置会社であれば取締役会の承認)を得るようにして下さい。

 

 

     Q23.営業所の広さは、どの程度が最低基準になりますか?

 

  A23.広さの最低基準は、公にされているところでは、10㎡以上とされています。ただ、事務所とし

                ての設備が整えられているのであれば、10㎡未満でも、規模が適切であると評価してくれるこ

                とがあります。大切なのは単に数値上の広さではなく、現実的に「営業活動、輸送の安全を確保

                するための運行管理の拠点となる場所」として運送事業を経営できるだけの規模といえるかどう

                かという点です。

                机、椅子、電話、FAX、パソコン、プリンター、書棚、アルコールチェッカー(設置型の場合)、最

                   低限これらのものが設置できないような広さでは難しいと思われます。

                   なお、中部運輸局管轄では、原則として申請時点で営業所の写真の提出が必要になります。

 

 

       Q24.既存の建物を営業所にしようと考えています。「この場所にある建物では営業所にできない」などの決

                   まりはありますか?

 

   A24.あります。

 

       わたしたちが住む地域は、都市計画法という法律にしたがい、「都市計画区域」と「それ以外の区域」に分けら

       れています。

       「それ以外の区域」内にある建物であれば、特殊な場合を除き、位置としては問題がありません。

   他方、「都市計画区域」内にある建物であれば、さらにその建物が「市街化区域」内にあるのか、「市街化調整

       区域」内にあるのかを確認する必要があります。

       「市街化区域」内にある建物の場合は、市街化区域のうち、どの「用途地域」にあるかを確認する必要がありま

       す。

  「用途地域」が「第一種低層(又は中高層)住居専用地域」の場合は、「兼用住宅」である場合などの例外を除

       き、営業所にすることが難しいのではないかと思います。

       それ以外の「用途地域」内にある場合は、営業所の位置としては、問題がありません。

       「市街化調整区域」内にある建物の場合は、その建物が市や県の建築担当部局から「開発許可」又は「建築許

       可」を受けて建てられているか、「都市計画区域」となる前(すなわち「それ以外の区域」であったとき)に建

       てられたものであることと思われます。

     この建物を「運送事業の営業所(事務所)」として使用することについて、建築担当部局から内諾をとることが

       できれば、運送事業の営業所にすることができる可能性があります。

     いずれにしても、「市街化調整区域」内にある既存の建物を営業所にすることは確認事項が多く、注意が必要で

     す。

 

 

      *市街化調整区域内に設置した「トレーラーハウス」や「プレハブ」を営業所とすることができるのか

         通常、営業所とか、事務所といえば「建物(=不動産、つまり土地の定着物)」であることが求められるよう

   に思います。

         しかし、運送事業の経営許可に関しては、営業所が「建物」であることを求めていない取扱いのようです。

         市街化調整区域内に建物を建築するには、「開発許可」又は「建築許可」を受ける必要がある(そして許可を

         受ける要件は厳しい)点は、上記で述べたところですが、建物ではない「トレーラーハウス」については、許

         可を受けなくても設置できるという理屈のようです。

         したがって、市街化調整区域内に「トレーラーハウス」を設置して、営業所としての許可を受けることが可能と

   なる取扱いのようです。

   「プレハブ」については、通常、基礎工事まではしていないとはいえ、土地に定着させているのが通常ですの

   で、常識的に考えると「建物」といえるでしょう。

   したがって、これを市街化調整区域に設置するとなると、原則通り「開発許可」又は「建築許可」を受ける必要

   があると思うのですが、所在する市区町村又は都道府県が現存する「プレハブ」を「建物ではない」と評価した

   場合は、このプレハブを営業所とすることができる可能性があるという話を、小耳に挟んだことがあります。

   「市区町村」がプレハブを「建物ではない」と評価することがあるのかはよく分かりませんが、「プレハブ」と

         一言でいっても様々なケースがあるということでしょうか。

   「市区町村又は都道府県」が「建物ではない」と評価したプレハブであれば、都市計画法建築基準法に抵触す

   ることはないので、市街化調整区域内に設置したプレハブを営業所とすることができるという理屈のようです。

 

 

   Q25.今日の記事のソースを教えて下さい。

 

       A25.以下の参照条文をご覧下さい。

 

   このページに書いてあることが「ガセではないか?」と疑われるといけないので、最後に、参照条文をご案内し

       ます。

   営業所を賃借する場合の契約期間については中部運輸局の公示  一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運

       送事業の申請事案の処理方針について 平成15年2月28日 中運局公示第277号のⅠ.1.(1)使用権

       を、広さについては(3)規模を、位置については(2)立地条件を参照して下さい。

       都市計画区域については、都市計画法5条5条の2を、市街化区域と市街化調整区域との区分については同法

       7条13条を参照して下さい。

       用途地域については、同法8条9条10条を、用途地域等内の建築物の制限については、建築基準法48

       条別表第2を、兼用住宅の例外については同法施行令130条の3を参照して下さい。

       開発許可及び建築許可については、都市計画法29条42条を参照して下さい。

 

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

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