一般貨物Q&A.その6.運送業の開業にあたり備えるべき要件は(自動車車庫編)

 

 

 

   このページでは、一般(又は特定)貨物自動車運送事業を開業するための要件のうち、自動車車庫に関わること

       について書いていこうと思います。

 

 

   Q28.「自動車車庫」とは何ですか?

 

       A28.事業用自動車(緑ナンバーの車両)専用の駐車場のことです。

 

       自動車車庫には、緑ナンバーの車両を駐車できますが、白ナンバーの自家用自動車は駐車できません。

       したがいまして、もし自動車車庫として利用する土地に、従業員の自家用自動車も駐車する場合は、自家用自動

       車の駐車に必要なスペースを、自動車車庫の面積から減じて、申請する必要があります。

   また、倉庫やスーパーハウスなどを自動車車庫として利用する土地に設置する場合も、同様にそのスペース分の

       面積を自動車車庫の面積から減じて、申請することになります。

 

 

   Q29.自動車車庫は代表者の自宅の土地でもいいですか?また、賃借でもいいですか?

 

       A29.後述する要件を満たしているのであれば、代表者の自宅の土地でもいいです。また、賃借でも構いませ

                   ん。

 

       自動車車庫は、代表者の自宅の土地でも、賃借でも構いません。賃借の場合は、契約書を交わして下さい。

       土地の使用目的は「自動車車庫」や「駐車場」としていただけば結構です。

       契約期間を1年以上とする(1年未満とした場合は、期間満了時に自動的に更新される旨の定めを設けること)

       よう、お願い致します。

 

 

       Q30.自動車車庫の広さは、どの程度が必要になりますか?

 

       A30.現実的に事業用自動車の全車両を容易に駐車できるだけの面積が必要です。

                   なお、車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔は50センチ以上確保して下さい.

 

      *必要面積の目安について

       以前は、中部運輸局の「経営許可申請書作成の手引」において、車両の最大積載量を基準に、以下のよ

       うな必要面積の目安が公にされていました。

       しかし、最新の「経営許可申請書作成の手引」からは、この目安の記載が削られていました。

       もっとも、現行の増減車の事前届出書や、他の運輸局の手引をみると、以下の目安が記載されたままで

       すので、一応、必要面積の目安として載せておきます。

 

 

                                                        最大積載量             必要面積の目安

                                                        7.5t 超  ・・・   38㎡

                                                        7.5t 迄  ・・・   28㎡

                                                        2tロング   ・・・   20㎡

                                                        2t  迄       ・・・   15㎡

 

 

           以前は、この目安を使用して、自動車車庫の必要面積の最低基準の目安を算出していました。

             算出した必要面積の最低基準の目安が、実際の自動車車庫の面積の90%以上となる場合(つまり、自

                   動車車庫の面積が最低基準の目安ギリギリの場合)は、全車両を容易に駐車できることを証明するため

                   に、別途自動車車庫内での車両の配置図などの追加書類を求められることがありました。

 

       いずれにせよ、必要となる自動車車庫の面積を検討する際は、最低基準をベースに検討するのではな

       く、事業用自動車の全車両を容易に駐車できるだけの面積をベースにご検討下さい。

 

 

        Q31.「この場所にある土地では自動車車庫にできない」などの決まりはありますか?

 

        A31.あります。(1)~(4)の要件がありますので、一つずつ検討する必要があります。

 

           (1)青空駐車場であれば、建築物ではありませんので、営業所の項で詳述した、都市計画法や建築基準法な

                    どの規制はありません。

                    農地であるかどうかに気を付けていただければ問題ないと思われます。

 

       「農地」というのは、「田」や「畑」として使用されている土地のことです。

        現に「田」や「畑」として利用されている土地はもちろん、現在は耕作放棄地となっているけど、その土地は本

        来農地である場合も「農地」です。

       「農地」を「農地以外」の用途に使用するには、事前に農業委員会から「農地転用」の許可(市街化区域内の農地

        であれば、届出で足りる)を受ける必要があるのですが、農地転用の許可は要件が厳しく、許可を受けられると

        は限らないこと、また許可を受けられるとしても時間と手間がかかることから、避けた方がいいと思います。

        したがって、自動車車庫とする土地の選定にあたっては、土地の現況が「田」や「畑」ではないかの現地確認

        と、土地の登記簿の地目が「田」や「畑」ではないことを法務局で登記簿を取得して確認すればよいかと思いま

        す。

 

          (2)営業所から直線距離で10km以上離れている土地を当該営業所の自動車車庫とすることはできませ

                   ん。

 

        自動車車庫は営業所に「併設」されていることが望ましいのですが、営業所に併設の車庫を確保することが難し

        い場合の救済措置として、営業所から直線距離で10km以内の土地であれば、自動車車庫にすることができる

        ことになっています。

 

          (3)自動車車庫の出入口の前面道路の車道幅員が、「車両制限令」に適合している必要があります。

                   ただし、前面道路が「国道」の場合は、車両制限令に適合しているものとみなされる取扱いですので、

                   前面道路が「都道府県道」や「市区町村道」の場合に、車道幅員を検討することになります。

                   なお、前面道路が「私道」の場合は、その「私道」と接続する「国道・都道府県道・市町村道」の車道

                   幅員を検討することになります。

 

      自動車車庫の出入口の前面道路の車道幅員について、車両制限令という法令に規定があります。

      前面道路の位置によって、必要とされる車道幅員が変わります。

        なお、車道幅員とは、道路幅員(道路の総幅)から路肩の幅員を減じたもののことです。

 

 

                                                    車道幅員 = 道路幅員 ― 路肩

 

 

        なお、通常、路肩は道路の左右にあり、それぞれ0.5m以上とされています(トンネルや橋などでは0.25

        m以上)。

        ただし、路肩の合計が1.0m未満となる場合は、路肩を1.0m(トンネルや橋などでは0.5m)として、

        車道幅員を計算します。

       (つまり、路肩はトンネルや橋などを除き、最低でも1.0mあるものとして計算することになります)

        必要となる車道の幅員については、以下の場合分けに従って算出します。

 

 

       1.前面道路が市街地区域内にある場合

    (あ)前面道路が「駅前、繁華街等にある歩行者の多い道路」で「道路管理者が指定したもの」の「歩道又は自転

             車歩行車道のいずれをも有しない区間」を「道路管理者が指定した時間」内に通行する場合

 

 

 

 

 

 

 

 

   (極少指定道路とは、道路管理者が指定した、極めて自動車の通行が少ないと認められた道路のことです)

 

  (い)(あ)以外の場合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      2.前面道路が市街地区域外にある場合

    (あ)通常の道路の場合

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

       *1 おおむね300m以内の区間ごとに待避所がある道路

 

 

       (4)自動車車庫の道路設置面の開口部分が広すぎると、どこからでも車両を出入り出来てしまい、通行人の往

                来の妨げになってしまったり、安全の見地でも好ましくないことから、出入口部分を特定して、それ以外

                の部分にネットフェンスなどの囲障を設置することが、許可を受ける条件として設定されることがありま

                す。

                出入りできる部分の幅が、概ね8m以内であれば、条件がつかない傾向があります。

 

       以上(1)~(4)の要件を満たす自動車車庫を確保して下さい。

 

 

   Q32.今日の記事のソースを教えて下さい。

 

   A32.以下の参照条文をご覧下さい。

 

   このページに書いてあることが「ガセではないか?」と疑われるといけないので、最後に、参照条文をご案内し

       ます。

   自動車車庫を賃借する場合の契約期間については中部運輸局の公示  一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動

       車運送事業の申請事案の処理方針について 平成15年2月28日 中運局公示第277号のⅠ.3.(4)使

       用権を、位置については(1)位置及び営業所との関連を、前面道路の車道幅員については、(2)立地条件

       び車両制限令5条6条を、広さについては(3)収容能力を参照して下さい。

 

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

 

 

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