「 一般貨物Q&A」は、運送業に関する様々なテーマをピックアップして、知識や情報を提供することを目的としたページです。
これから開業しようとお考えの方が本ページを読んで、運送業に関する知識を習得していただければ、幸いです。
Q4.「特別積合せ」と「利用運送」について教えて下さい。
A4.少々細かい内容になりますので、以下でご説明致します。
少々細かい話ですが、「特別積合せ貨物運送(「とくつみ」などと呼称されます)」と「貨物自動車利用運送」についてご案内致します。
「特別積合せ貨物運送」とは、自社の営業所・荷扱所などの拠点で「荷物の積み下ろし」と「荷物の仕分け」を行い、拠点間で「 定期的に運送」することをいいます。
「拠点間での運送」のことをいいますので、最終の拠点から荷受人の元への配達のための運送は、「特別積合せ貨物運送」には該当しません。
郵便局の郵便の配達を請け負っている 日本郵便輸送(株)をイメージしていただくとわかりやすいと思います。
「特別積合せ貨物運送」を行う自動車運送事業者も、一般貨物自動車運送事業の許可を受けている点では「特別積合せ貨物運送」を行わない一般貨物自動車運送事業者と変わりありませんが、許可の申請書に「特別積合せ貨物運送を行う」ことを明示する点と、「荷扱所」や「積卸施設」、「運行系統及び運行回数」、「貨物の管理体制」なども明らかにして申請を行う必要があり、またそれらが許可の審査対象となる点が異なります。
特別積合せ貨物運送に関する参考条文
この法律において「特別積合せ貨物運送」とは、一般貨物自動車運送事業として行う運送のうち、営業所その他の事業場(以下この項、第四条第二項及び第六条第四号において単に「事業場」という。)において集貨された貨物の仕分を行い、集貨された貨物を積み合わせて他の事業場に運送し、当該他の事業場において運送された貨物の配達に必要な仕分を行うものであって、これらの事業場の間における当該積合せ貨物の運送を定期的に行うものをいう。
(許可の申請)
前条の許可を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を国土交通大臣に提出しなければならない。
2 前条の許可の申請をする者は、次の各号のいずれかに該当する場合にあっては、前項第二号に掲げる事項のほか、事業計画にそれぞれ当該各号に掲げる事項を併せて記載しなければならない。
3 第一項の申請書には、事業用自動車の運行管理の体制その他の国土交通省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
(許可の基準)
国土交通大臣は、第3条の許可の申請が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、同条の許可をしてはならない。
一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可並びに事業計画変更認可申請事案に係る標準処理期間について
貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号。以下「法」という。)の一部を改正する法律が平成15年4月1日から施行されることに伴い、地方運輸局長及び地方運輸局運輸支局長の権限に係る一般貨物自動車運送事業及び特定貨物自動車運送事業の許可並びに事業計画変更認可申請事案に係る標準処理期間を下記のとおり定めたので公示する。
1.許可(法第3条、第35条第1項、第29条第1項)
(1) 一般貨物自動車運送事業
3~4ヶ月(特別積合せ貨物運送を行うにあっては、4~5ヶ月(自動車ターミナル法第26条の検査を要する場合を除く。))
以下略
特別積合せ貨物運送を行う場合の一般貨物の許可に関する審査期間は、特別積合せ貨物運送を行わない場合よりも1ヶ月長くなっています。
次に「貨物自動車利用運送」ですが、これは自社が請け負った運送を、「下請」の貨物自動車運送事業者に行わせることをいいます。
荷主とA社との間で運送委託契約(請負契約)を締結した貨物について、A社と自動車運送業者B社との間で締結している利用運送契約に基づいて、B社に輸送を行わせるケースが典型的です。
荷主と運送に関する請負契約を締結しているのはA社ですので、荷主に対して運送に関する責任を負うのはB社ではなくA社である点が特徴です。
なお、下請として実際に荷物を運送する自動車運送事業者のことを、下請への発注者である「利用運送事業者」に対比する呼び方として「実運送事業者」といいます。
自動車の利用運送事業を始めるためには、主に以下の①~③のケースに応じて手続きをする必要があります。
②一般貨物自動車運送事業の許可をすでに受けているが、許可の申請時に「貨物自動車利用運送を行う」ことを明示しなかった場合は、「貨物自動車利用運送」の「事前の認可」を受ける
③一般貨物自動車運送事業を行う予定がなく、自動車の利用運送だけを行う場合は、第一種貨物利用運送事業の登録を受ける
なお、③のケースで、利用運送を無償で行う場合は「第一種貨物利用運送事業」に該当しないため、登録を受ける必要はありません。
③の登録を受けるには、申請書類を提出してから2ヶ月以上かかります。
「貨物自動車利用運送」及び「貨物利用運送」に関する参考条文
貨物自動車運送事業法
この法律において「貨物自動車利用運送」とは、一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者が他の一般貨物自動車運送事業又は特定貨物自動車運送事業を経営する者の行う運送(自動車を使用して行う貨物の運送に係るものに限る。)を利用してする貨物の運送をいう。
一般貨物又は特定貨物の運送事業者が行う利用運送のことを、「貨物自動車利用運送」といいます。
他方、第一種貨物利用運送事業者が行う利用運送のことを、「貨物利用運送」といい、両者が行う利用運送は一応区別されています。
(許可の申請)
2 前条の許可の申請をする者は、次の各号のいずれかに該当する場合にあっては、前項第二号に掲げる事項のほか、事業計画にそれぞれ当該各号に掲げる事項を併せて記載しなければならない。
3 第一項の申請書には、事業用自動車の運行管理の体制その他の国土交通省令で定める事項を記載した書類を添付しなければならない。
(定義)
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この法律において「第一種貨物利用運送事業」とは、他人の需要に応じ、有償で、利用運送を行う事業であって、第二種貨物利用運送事業以外のものをいう。(登録)
2 第二種貨物利用運送事業について第二十条の許可を受けた者は、第二十一条第一項第二号の事業計画に係る利用運送の区間の範囲内において、当該事業において利用する他の運送事業者の行う運送に係る第一種貨物利用運送事業を経営するときは、当該第一種貨物利用運送事業について、前項の登録を受けることを要しない。
(適用除外)
この法律の規定は、貨物自動車運送事業法第2条第7項の貨物自動車利用運送については、適用しない。
一般貨物又は特定貨物の運送事業者は、貨物利用運送事業法の適用を受けませんので、これらの方が「貨物利用運送」を行う場合であっても、第一種貨物利用運送事業の登録を受ける必要はありません。
Q5.「軽貨物」・「一般貨物」・「特定貨物」では、開業手続きに違いがありますか?
A5.「 軽貨物」を開業するためには「届出」で足りますが、「一般貨物」・「特定貨物」を開業するためには「許可」を受けることが必要です。
前回、貨物自動車運送事業の種類についてご説明しましたが、この種類の別により、開業するための手続きに違いがあります。
「 貨物軽自動車運送事業」を開業するために必要な手続きは、「届出」だけです。
これに対し、「一般(又は特定)貨物自動車運送事業」を開業するためには、「許可」を受ける必要があります。
時間的な観点で「届出」と「許可」の違いを説明しますと、「届出」は早ければ書類を提出したその日に手続きが終わりますが、「許可」を受けるまでには書類を提出してから数か月(一般貨物自動車運送事業の許可であれば最低でも3か月以上)かかります。
運送事業の開業手続に関する参考条文
(貨物軽自動車運送事業)
☑「貨物自動車利用運送」とは、自社が請け負った貨物の運送を、「下請」の貨物自動車運送事業者に行わせることで達成する場合をいう。
☑下請として実際に貨物を運送する貨物自動車運送事業者のことを「実運送事業者」という。
☑「軽貨物」を開業するための手続は「届出」で足りる。
☑「一般貨物」、「特定貨物」を開業するための手続は「届出」ではなく「許可」を受ける必要がある。
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